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学校問題

【衝撃】熊本県 児童生徒の16.8%「いじめは許される」

熊本県教育委員会は2026年5月14日、県内公立学校の児童生徒約10万人を対象に2024年に実施した「心のアンケート」の集計結果を公表した。「どんな理由があってもいじめは許されない」と答えた児童生徒は83.2%にとどまり、約16.8%が「理由によっては許される」「理由に関わらず許される」と回答した。いじめを許容するという認識が10万人中1万7千人を超える規模で存在することが浮き彫りになった。

「理由によっては許される」15.5%(1万6141人)、「理由に関わらず許される」1.3%(1339人)、合わせて16.8%。10万人規模の児童生徒のうち、熊本県の学生の約1万7千人が「いじめは絶対悪ではない」と認識している

調査の全容 ── 熊本県教委「心のアンケート」2024年度調査

項目内容
調査名心のアンケート(いじめ等に関するアンケート)
実施主体熊本県教育委員会
実施時期2024年11月から12月
発表日2026年5月14日
対象熊本市立を除く熊本県内の公立小学校・中学校・高校・特別支援学校の児童生徒
回答者数計10万4392人
主要設問1「いじめについてどう思うか」
主要設問2「今の学年でいじめられたことがあるか」

「いじめは許される」16.8%の衝撃

本調査で最も衝撃を受けた設問が「いじめについてどう思うか」だった。回答結果は次のとおりである。

  • 「どんな理由があってもいじめは許されない」 ── 83.2%
  • 「理由によっては許される」 ── 15.5%(約1万6141人)
  • 「理由に関わらず許される」 ── 1.3%(1339人)

後者の2つを合算すると、16.8%(約1万7480人)の児童生徒が「いじめは許される」と回答したことになる。10万人規模の母集団における2割弱という数字は、誤差や統計的揺らぎで片付けられる水準ではない。

注目すべきは「理由に関わらず許される」と回答した1339人の存在である。これは「いじめという行為そのものを善悪の判断対象外と認識している」児童生徒であり、極めて深刻な認識の歪みを示す。1339人は1クラス30人換算で約45クラス分。熊本県内の各学校に複数人ずつ点在していることになる。

いじめ経験率と「3割が誰にも話さず」

同調査の「いじめられたことがあるか」設問では、以下の経験率が判明している。

  • 小学生:14.5%
  • 中学生:4.0%
  • 高校生:1.0%
  • 特別支援学校生:2.1%
  • 公立校全体:8.4%(8731人、前年度比1368人減)

読売新聞の続報によれば、被害を受けた8731人のうち約3割弱は「誰にも話していない」と回答している。本来、児童生徒が真っ先に頼るべき教師や保護者に、被害を打ち明けられない状況が温存されている。

「いじめを許容する加害側の認識」と「被害者の沈黙」が同時に存在する事実は、現場の学校教育におけるいじめ対応の構造的欠陥を示唆する。「いじめは絶対悪」という共通認識が、教室の中で揺らいでいるのだ。

戦後教育の瓦解 ── 「絶対悪」を教えられなかった大人たちの責任

本紙は本調査結果を、単なる教育委員会の発表ではなく、戦後日本の道徳教育・人権教育が直面する根源的な瓦解の証左として読む。

「いじめ防止対策推進法」が2013年に施行されてから10年以上が経過した。同法第2条は、いじめを「他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為で対象児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義し、その存在を発見した段階で学校側に対処義務を課している。にもかかわらず、教えを受ける側の児童生徒の側で「理由によっては許される」という認識が16.8%にも上る現状は、法律と現場教育のあいだに10年分の乖離が積み上がっていることを意味する。

朝日・毎日的なリベラル教育論調はしばしば、「いじめにも背景がある」「加害者にも事情がある」という相対化に流れる。いじめは、いかなる理由があろうとも絶対悪である

被害者の人権を侵害し、時に死に至らしめる行為に「理由」を求めることは、加害行為そのものを正当化する論理に直結する。「相手にも非があった」「言われても仕方なかった」――こうした相対化の温床こそが、児童生徒の16.8%を生んだ土壌である。

道徳教育・人権教育の現場で、教師は児童生徒に対し「いじめは絶対悪である」という命題を毅然と教えているか。「双方に言い分がある」「両方の話を聞こう」という相対化教育が、いじめを生む土壌を作っている

熊本県教委の対応 ── 「支援体制充実」では足りない

調査結果の公表に際し、県教委学校安全・安心推進課は「スクールカウンセラーなどの活用を進め、困り事を抱え込まないよう支援体制を充実させる」とコメントした。また「学校と連携して児童・生徒の発達状況などに合わせた取り組みにさらに力を入れたい」とも述べている。

しかし、これは「被害者支援」の側からの対応に終始しており、「加害者および加害者予備軍となる16.8%への教育介入」が抜け落ちている。スクールカウンセラーが何人増えようと、児童生徒の認識そのものが「いじめは許される場合がある」のままなら、いじめは絶滅しない。

熊本県教委には、本調査結果を踏まえた次の3点を求めたい。第一に、「いじめは絶対悪」を教える道徳教育の徹底的な見直しと、教師研修の強化。第二に、いじめ加害認識を持つ児童生徒に対する個別教育介入の制度設計。第三に、本調査の継続実施と経年変化の公表による教育成果の可視化である。

本紙はあわせて、熊本日日新聞が2025年に報じた「2024年のいじめ重大事態、第三者委員会報告書を非公表」の件を想起する。重大事案の報告書を非公表とする姿勢は、まさに「いじめを社会で共有しない」という県教委の閉鎖体質を示すものであり、児童生徒が「いじめは許される」と認識する組織文化の鏡像でもある。情報公開と教育介入は、両輪で進めねばならない。

「いじめ絶対悪」教育の再構築を急げ

熊本県教委「心のアンケート」が突きつけた16.8%という数字は、戦後日本の教育界が築いてきた「価値観相対主義」の限界を示す。子どもたちの2割弱が「いじめは許される」と考える熊本県は、もはや法治国家として正常な状態ではない。

必要なのは、第一に道徳教育の中で「いじめは絶対悪」を毅然と教える教育内容への転換である。「両論併記」や「相手の気持ちも考えよう」で済ませる現場教育は、加害行為の正当化を許す土壌となる。「いじめは犯罪である」「被害者の人権を侵害する絶対悪である」という命題を、義務教育の段階で全児童生徒に徹底浸透させる教育内容の再構築が急務である。

第二に、教育委員会と学校現場の説明責任である。本調査のような数字は隠さず公表し、経年変化を市民に公開して、進歩なき場合は教育内容の見直しを行う仕組みが必要である。重大事態報告書の非公表は、絶対に許されない。

第三に、保護者・地域社会との協働である。学校教育だけでなく、家庭・地域社会全体で「いじめは絶対悪」のメッセージを児童生徒に発信し続ける文化を再構築せねばならない。

10万人の子どもたちのうち約1万7千人が「いじめは許される」と答えた事実を、熊本県教育界は重く受け止めなければならない。

取材・参照ソース一覧

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