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テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の名物コメンテーターとして、長年にわたり朝の情報番組の顔であり続けてきた玉川徹。歯に衣着せぬ物言いで一定のファンを獲得する一方、その発言は幾度となく大きな炎上騒動を引き起こしてきた。
2022年の安倍元首相国葬をめぐる「電通」発言では謹慎処分を受け、コロナ禍では「煽り報道」の筆頭として批判を浴び、2025年には生放送中にテレ朝後輩を怒鳴りつけて「公開パワハラ」と騒がれた。そして2026年4月には、ジャレッド・クシュナー氏に対する「ユダヤ人ですよね?」発言が駐日イスラエル大使の抗議にまで発展し、国際問題となった。
本記事では、玉川徹の経歴から過去の問題発言・炎上事件までを時系列で徹底的にまとめる。
玉川徹(たまかわ・とおる)は1963年生まれ、宮城県出身のジャーナリスト・コメンテーターである。
学歴は宮城県立仙台第二高等学校を1982年に卒業後、京都大学農学部農業工学科へ進学。同大学院農学研究科の修士課程を1989年に修了している。仙台第二高校は偏差値70を超える宮城県屈指の進学校であり、高校時代はバイオテクノロジーに興味を持っていたが、大学では農業土木分野を専攻する形となった。
1989年、テレビ朝日に入社。最初の配属は報道番組「内田忠男モーニングショー」のアシスタントディレクター(AD)だった。その後、報道局の主任として「スーパーモーニング」などの番組でディレクターを務め、やがて同番組後期に「ちょっと待った! 玉川総研」という冠コーナーのリポーターを任されたことが転機となる。後継番組の「情報満載ライブショー モーニングバード!」から「羽鳥慎一モーニングショー」へと続く流れの中で、レギュラーコメンテーターとしての地位を確立した。
テレビ朝日には定年退職する2023年7月31日まで在籍した。定年延長制度を利用せず退職したものの、退職後は事務所に所属せずフリーのコメンテーターとして引き続き「羽鳥慎一モーニングショー」に出演している。なお、テレビ朝日在籍中の肩書きは長らく「報道局員」であり、管理職ではなかったとされている。
私生活については、過去に結婚歴があるバツイチで、元妻との間に子供はいない。2019年に番組内で自ら離婚経験を明かしており、理由について「家事はしなかったかな」とコメントしている。2019年11月には週刊文春により40代の美容外科医女性との交際が報じられた。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年4月 | コロナ禍でPCR検査に関する事実誤認の発言。テレ朝記者の取材メモを誤解釈し、番組内で謝罪 |
| 2020年〜2021年 | コロナ報道で「煽りすぎ」と継続的に批判を受ける。「感染症に関しては煽ってるって言われるくらいでいい」と自ら発言 |
| 2022年9月28日 | 安倍元首相の国葬における菅前首相の弔辞について「電通が入っている」と事実無根の発言 |
| 2022年10月4日 | テレビ朝日が出勤停止10日間の懲戒処分を発表 |
| 2022年10月19日 | 謹慎明けに番組復帰。謝罪の上、コメンテーターを降板し現場取材記者へ転身を表明 |
| 2023年4月頃 | 「もともとコロナはたいした病気ではない」と発言。コロナ煽り報道からの手のひら返しと大批判 |
| 2023年7月31日 | テレビ朝日を定年退職。フリーとして同番組に継続出演 |
| 2024年3月 | 大阪万博「リング」批判をめぐり、吉村洋文大阪府知事から「玉川徹は出禁」発言を受ける |
| 2025年6月16日 | 生放送中にテレ朝政治部記者を「ダメなんだよ!」と一喝。10秒間の沈黙が生まれ「公開パワハラ」と批判 |
| 2025年10月21日 | 高市早苗新首相を「保守じゃなくて右翼」と発言。「思想が左すぎ」と批判殺到 |
| 2025年10月27日 | 鈴木憲和農水相に対する追及が「威圧的で失礼」と視聴者から批判。指差しの癖を指摘される |
| 2026年4月10日 | クシュナー氏について「ユダヤ人ですよね?」「いないほうがいい」と発言。人種差別だと炎上 |
| 2026年4月14日 | 駐日イスラエル大使がテレビ朝日に正式な抗議書簡を送付。サイモン・ウィーゼンタール・センターも非難 |
| 2026年4月15日 | テレビ朝日が番組公式サイトで「差別と受けとられかねない発言だった」と謝罪 |
玉川徹の炎上史を語る上で、新型コロナウイルスに関する一連の発言は避けて通れない。2020年の感染拡大初期から、玉川氏はモーニングショーの中で繰り返しPCR検査の拡充を訴え、政府の対応を厳しく批判し続けた。
PCR検査については、「本当にその中にウイルスがあったらほぼ100%近く感度はあるはず」と発言し、専門家から「検査の感度を100%と断言するのは不正確」と指摘された。妊婦の検査拒否のニュースに対しては「さっさとやれ」「見ているなら早くやれ」と政府を激しく批判。番組全体としても、コロナの恐怖を強調する報道姿勢が「不安を煽っている」として社会問題化した。
玉川氏自身も「僕は感染症に関してはある種、煽ってるって言われるくらいでいいんじゃないかって、ずっと思ってやってきた」と番組内で発言しており、ある意味では意図的に危機感を強調していたことを認めている。
2020年4月には、テレ朝記者の取材メモを誤って解釈し、PCR検査が土日祝日には行われていないかのような誤情報を放送。実際には土日も検査は行われており、番組内で訂正・謝罪する事態となった。また、葬儀社の声を紹介する形で「肺炎として死亡した患者の中にコロナ感染者がいるのではないか」「もっと死者は多いかもしれない」と述べた際には、その葬儀社社長を名乗る人物から「デマを広めるのはやめてほしい」と反論される一幕もあった。
そして2023年4月。5類移行を前にしたタイミングで、玉川氏は「もともと健康な人とか若い人は、初めからコロナは大した病気じゃないんです」と発言。これに対し、視聴者やネット上では「あんなにコロナを煽っておいて、今さら何を言っているのか」と猛反発が起きた。お笑い芸人のほんこんも「その時、それでロックダウンって言ってたやろ。毎日PCR検査やってたんかいという話。無責任極まりない」と厳しく批判している。
コロナ禍における報道姿勢の一貫性のなさ、いわゆる「手のひら返し」は、玉川氏の信頼性に大きな傷を残すこととなった。
玉川徹の炎上史において最も大きな処分に至ったのが、2022年9月の「電通」発言である。
2022年9月28日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」で、安倍晋三元首相の国葬が行われた翌日、菅義偉前首相が読み上げた弔辞が話題となっていた。山縣有朋が伊藤博文を悼んだ歌を引用するなど、文学的に高い評価を受けていた弔辞に対し、玉川氏は「これこそが政治的意図がむしろあるんじゃないかと思っていて」と前置きした上で、「僕はこの演出についても電通が入っていると思います」と断言した。
この発言は事実に基づいたものではなかった。菅前首相の弔辞は菅氏自身の言葉であり、広告代理店が関与した事実は確認されていない。翌日、玉川氏は番組内で「事実ではありませんでした」と訂正・謝罪した。
しかし、事態はそれだけでは収まらなかった。元大阪府知事の橋下徹氏が10月2日の放送で「許せない」と厳しく批判したのを皮切りに、テレビ朝日に対しても「ガバナンスは大丈夫なのか」という声が上がった。
テレビ朝日は10月4日、玉川氏に対して出勤停止10日間の懲戒処分を発表。さらに報道局情報番組センター長ら番組責任者2名もけん責処分とした。テレビ朝日の社員が情報番組で懲戒処分を受けるのは、1993年のいわゆる「椿事件」以来の異例の事態だった。
10月19日、10日間の謹慎を終えた玉川氏はスーツ姿で番組に復帰。「慢心とおごりがあった」と反省の弁を述べ、電通と菅前首相に改めて謝罪した。この際、コメンテーターを降板し、現場取材記者として再出発する意向を表明した。
その後、玉川氏は取材記者として一定期間活動した後、再びコメンテーターとして番組に復帰。この復帰に対しても「反省が形だけではないか」という批判の声は絶えなかった。
2024年3月、大阪府の吉村洋文知事が地元のタウンミーティングにおいて、万博会場の木造環状屋根「リング」に批判的な報道をしていた玉川氏について「モーニングショー、玉川徹は出禁」と発言。この映像がSNSで拡散されると、「権力がメディアを選別するのか」「言論統制だ」と批判が殺到した。
吉村知事は当初「出禁にする権限がないことを前提にした冗談」と弁明していたが、維新の会代表として「イッツ・ア大阪ジョーク」と謎のフォローをした馬場伸幸代表の発言がさらに炎上を加速させた。最終的に吉村知事は「言い過ぎた。僕が間違っていた」として発言を撤回し、玉川氏に対して正式に謝罪している。
なお、2025年の万博閉幕間際には吉村知事自ら玉川氏に「是非、万博会場にお越しください。僕がご案内します。最後、楽しみましょう」と来場を呼びかけるという和解のエピソードもあった。
この件自体は吉村知事側に非があったケースだが、そもそもの発端として、玉川氏の万博に対する厳しい批判姿勢が大阪側から強い反感を買っていたことは事実であり、メディア人としての発信のあり方が問われた出来事でもあった。
2025年6月16日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」で、玉川氏は参院選を前に政府が打ち出した全国民への給付金政策についてのコーナーで、テレビ朝日政治部官邸キャップの千々岩森生記者に対して突如激昂した。
千々岩記者が政府の方針について解説したところ、玉川氏は「政治部たちが、それを認めちゃダメなんだよ!」「百も承知だったら、そんなこと言わないほうがいい」と声を荒げて一喝。あまりの勢いにスタジオは凍りつき、約10秒間にわたって誰も言葉を発することができず、MCの羽鳥慎一アナウンサーでさえフォローに入れないという異常事態となった。
この場面はすぐにSNSで拡散され、「公開パワハラだ」「テレ朝OBによる不愉快なパワハラ」「放送事故かと思った」といった批判が殺到。既にテレビ朝日を退職しているフリーの立場の人間が、現役の社員に対して生放送中に怒鳴りつける構図が特に問題視された。
2025年10月21日、衆参両院の首相指名選挙で自民党の高市早苗総裁が第104代内閣総理大臣に選出された。その直後のモーニングショーで、玉川氏は高市新首相について「公明党が『やっていけない』と離れたのは、高市総裁は保守だって言うけど、やっぱり右翼っていう方向性を嫌がった」と発言した。
合意書の内容にも触れ、「ナショナリズムな部分が相当入っている。家族制度、外国人ということをわざわざ書いて、ナショナリズムを前面に打ち出した文書になっている」と解説した。
SNSでは「思想が左すぎて中道が右翼に見える」「極左から見たら普通の人が右翼に見えるんでしょう」といった批判が大多数を占めた。なお、玉川氏が高市氏を「右翼」と評するのはこれが初めてではなく、2021年の自民党総裁選の際にも同様の発言をしている。
2025年10月27日、モーニングショーに鈴木憲和農水相が出演した際、玉川氏はコメ政策について「元に戻すんですか? 今までのコメを強くできなかった農政に戻すんですか?」と厳しく迫った。
しかし鈴木農水相は「東北出身の玉川さんはいいこと言っていただけるなと思いました」と冷静にかわし、「私は元に戻したいとは思ってません」と落ち着いて回答。結果的に玉川氏の追及は空振りに終わった。
この場面で改めて視聴者から指摘されたのが、玉川氏の「指差しの癖」だった。自分の意見を述べる際に相手を指差し、大きく腕を振る仕草が「威圧的で失礼」と批判された。コメンテーターが閣僚に対して議論を挑むこと自体は報道の役割だが、その手法が相手への敬意を欠いているという指摘は、玉川氏に対する根強い批判の一つとなっている。
玉川徹の炎上史の中でも最も深刻な事態に発展したのが、2026年4月のユダヤ人関連発言である。
2026年4月10日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」で、米国とイランの協議にジャレッド・クシュナー氏(トランプ大統領の娘婿)が出席するとされた話題について、玉川氏は次のように発言した。
「トランプ家の代表として入っているとしか見えないし、ましてやユダヤ人ですよね? このイランとの協議に関しては、むしろいないほうがいい人のような気がする」
クシュナー氏がイスラエルのネタニヤフ首相に近い立場であることを踏まえた発言だったとされるが、ユダヤ人という属性をもって「いないほうがいい」と断じたことは、人種・宗教に基づく差別的発言として即座に炎上した。
SNSでは「人種差別そのもの」「ユダヤ人だからダメという発想は差別だ」と批判が殺到。しかしテレビ朝日は4月13日時点で「ご指摘には当たらない」とコメントし、当初は問題ないとの姿勢を見せた。
この対応が事態をさらに悪化させた。4月14日、駐日イスラエル大使のギラッド・コーヘン氏がX(旧Twitter)で「懸念すべき発言だ」としてテレビ朝日に正式な抗議書簡を送ったことを公表。さらに、ロサンゼルスに拠点を置く国際的なユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のエイブラハム・クーパー副所長も「玉川氏は直ちに放送で批判されるべきだった」と非難声明を出した。
国内の「ご指摘には当たらない」という対応と、国際社会からの厳しい批判の間に大きな温度差が生じ、テレビ朝日は対応の見直しを迫られた。わずか2日後の4月15日、テレビ朝日は番組公式サイトにて「差別と受けとられかねない、誤解を招くものでした」「クシュナー氏に関する専門家への質問であって差別的な意図はなかったが、説明が不十分で表現に配慮が足りなかった」と謝罪を表明した。
玉川氏の発言が外交ルートを通じて国際問題にまで発展したのは初めてのことであり、その影響の大きさは過去の炎上とは次元が異なるものだった。
玉川徹の発言が繰り返し問題化する背景には、いくつかの構造的な要因がある。
まず、テレビ朝日の社員(後にOB)でありながらコメンテーターを務めるという特殊な立場がある。通常のフリーコメンテーターであれば、問題発言があれば番組から降ろされて終わりだが、局の社員やOBという立場が一種の「守り」として機能し、問題が起きても復帰しやすい構図があった。
次に、発言の一貫性の問題がある。コロナ煽り報道から「大した病気ではない」への転換、電通発言における事実確認の甘さ、そして政治家への発言における偏りといった問題は、いずれもジャーナリストとしての基本的な姿勢に関わるものだ。
さらに、コミュニケーションスタイルの問題もある。相手を指差す癖、声を荒げて後輩を叱責する場面、閣僚に対する威圧的な態度など、「何を言うか」だけでなく「どう言うか」の部分でも視聴者の反感を買ってきた。
2022年の電通発言による謹慎、2026年のユダヤ人発言による国際問題化と、問題のスケールは年々大きくなっている。テレビ朝日としてもコメンテーター起用のあり方を問われ続けており、今後の動向が注目される。