WEEKLY AOI MIYU 週刊あおいみゆ
世界の事件・事故

ハッブル宇宙望遠鏡の鏡は、なぜ精密に間違えられたのか

鏡面と製作・計測を象徴する装置のそばに、地球と宇宙望遠鏡の像を組み合わせたイラスト。
AI生成の象徴イメージ。実際の主鏡・測定装置・製造現場の写真ではなく、宇宙望遠鏡との組合せは説明用の構成です。装置寸法や鏡面の誤差・実際の光路は示していません。

1990年に判明したハッブルの主鏡の不具合。繰り返し正確に測れることと、正しい基準で測っていることの違いを、調査報告と補正の経緯から考える。

何度測っても同じ結果が出る。それは、正しい形に作れた証拠だろうか。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡では、主鏡が目標とは違う形に仕上がっていた。雑に作ったから誤差が散らばった、という話ではない。精密な製作を支えた測定の基準そのものに、問題があった。

宇宙で明らかになった主鏡の形

1990年4月24日に打ち上げられたハッブルでは、その後、光を期待どおりに集められない問題が判明した。NASAの同年11月の調査報告は、主鏡の外側が本来より平らな形になっていたと説明する。形状の誤りによって、鏡の違う部分を通る光が適切に集まらない球面収差が生じた。NASA光学系不具合調査報告

調査が突き止めた重要な誤差は、鏡を調べる反射型ヌル補正器という装置の内部にあった。レンズの位置に1.3ミリメートルのずれがあったのである。この数字は鏡の表面が1.3ミリずれていたという意味ではない。測る装置の配置と、出来上がった鏡の形は、別の量として区別する必要がある。

製作と合否判定が同じ基準に寄りかかる

ヌル補正器は、目標とする鏡の形を確かめるための光学装置だ。報告によれば、問題の装置は鏡の仕上げと、完成形の確認の両方に使われていた。装置の基準に誤りがあれば、その基準に合うよう精密に加工するほど、誤った形へ近づいてしまう。

ここで本稿が分けたいのは、測定の再現性と、基準の正しさである。同じ手順で同じ結果が得られることは重要だが、共通のずれを持った物差しを何度使っても、そのずれ自体は消えない。これは当時の装置を単純な定規に置き換えた説明上のたとえであり、実際の光学検査ははるかに複雑だった。

確認する性質問い残り得る問題
繰り返しの一致同じ方法で結果がそろうか基準の共通した誤り
異なる方法との照合別の見方でも矛盾しないか不一致をどう扱うかという判断

単に検査の回数を増やすことと、異なる基準で照らし合わせることは、ここでは同じ対策にならない。

同じ測定基準が鏡の製作と検査の両方に使われる流れに、別の方法での照合を対比した概念図。
AI生成の説明図。NASAの光学系不具合報告に基づく確認方法の概念図。実際の検査装置・光路・組織図ではなく、製造工程と試験を単純化しています。 根拠:一次資料。

違う結果は、すでにあった

調査報告は、別の試験で不一致が示されていたことにも触れる。しかし、その結果は試験側の問題と考えられ、主鏡の問題を示すものとして扱われなかった。違いを発見できる道具が存在することと、その違いを解決する工程が機能することは別だった。

本稿では、これを単純な「高級な機械を信じすぎた話」としない。どの装置が正しいかは名称や評判だけでは決まらず、矛盾が出たときに、両方の前提を調べる余地が必要になる。測定器を追加するだけでなく、合わない結果をどう処理するかまで含めた検証の問題である。

誤差を知ることが、補正の出発点になる

1993年12月の整備ミッションでは、補正光学系を備えた広視野惑星カメラWFPC2と、他の観測装置向けのCOSTARが導入された。主鏡を宇宙で磨き直したのではなく、光学的に誤差を補う対応だった。NASAの鏡の不具合と補正の解説

製作時には見抜けなかった形の誤差も、その性質が分かれば補正の設計に使える。この違いが、本件を失敗談だけでは終わらせない。精密さそれ自体が無駄だったのではなく、何を基準に精密さを確かめていたかが決定的だったと理解できる。

本稿は1990年の調査と1993年の対応を対象にする。現在の観測性能の評価でも、すべての検査に同じ冗長化を義務付ける提案でもない。装置内の寸法や誤差の説明を、鏡全体の単純な拡大図として描くことも避ける。

制作とお問い合わせ

編集責任:週刊あおいみゆ。OpenAIのAIを資料調査と日本語執筆に使用した背景解説です。資料確認日は2026年10月22日。現地取材・人による専門監修ではありません。お問い合わせ・訂正のご連絡

出典

関連記事

世界の事件・事故