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2026年5月16日、ロンドンの中心部で2つの大規模デモが同日に発生した。1つは極右活動家トミー・ロビンソン氏が呼びかけた「反移民・反難民・反スターマー政権」のデモ。もう1つは反対側に立つ親パレスチナ・反人種差別・反極右のカウンターデモ。両方を合わせて参加者は約8万人にのぼり、警察は約4000人を動員、最終的に43人が逮捕された。同年5月7日に行われた英国統一地方選挙では、厳格な移民対策を掲げる新興右派政党「リフォームUK」がイングランドで1400議席以上を獲得して最大政党に躍進。一方、与党労働党は合計1400議席を失う歴史的大敗を喫し、スターマー首相は「結果は極めて厳しい。私は責任を負う」と陳謝した。この一連の動きの背景にあるのは、英国が長年抱え続けてきた移民系の極悪犯罪──ロザラム児童性的搾取事件1400人被害、ロッチデール、オックスフォード、エッピング、サウスポート──の連鎖だ。日本のメディアではほとんど報じられない、英国移民問題の最先端を整理しておきたい。
ロンドン2カ所で8万人デモ、43人逮捕。地方選でリフォームUKが1400議席を獲得し最大政党へ。労働党は1400議席消失。背景には40年にわたる移民系グルーミングギャングの被害1400人超と、不法入国難民申請者による少女への性的暴行事件の連鎖。英国民の怒りはもう「極右」では片付けられないレベルに達している。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 1997年〜2013年 | サウス・ヨークシャー州ロザラムで、パキスタン系移民を主とする男たちが約16年間にわたり1400人もの白人少女を性的搾取(ロザラム児童性的搾取事件) |
| 2000年代初期 | ロッチデール(グレーター・マンチェスター)でも特定民族の男性集団が労働者階級の白人少女をグルーミング・性的虐待 |
| 2010年 | ロッチデール事件が再調査され、2012年に9人有罪 |
| 2010年代 | オックスフォードシャー、ブリストル、ロザラムなど40年にわたり同種事件が継続。役人と警察が16年間ものあいだ事件を無視していたと報告書で結論 |
| 2024年7月 | サウスポート殺傷事件発生。子供3人死亡、6人負傷。事件後のSNSデマで「犯人は移民」と拡散され、英国各地で大規模な反移民暴動に発展 |
| 2024年7月 | エッピング性犯罪事件発生。エチオピア出身の難民申請者、小型ボートで英仏海峡を不法入国した男性が10代少女に性的暴行 |
| 2025年9月13日 | ロンドン中心部でトミー・ロビンソン氏主催「Unite the Kingdom」反移民デモ、11万〜15万人参加。エッピング容疑者に禁錮12カ月判決 |
| 2025年 | 英国政府がグルーミングギャング被害者数千人に正式謝罪。加害者の民族・国籍を記録する方針を発表 |
| 2026年5月7日 | 英国統一地方選挙。リフォームUKが1400議席以上獲得し最大政党に。労働党は1400議席を失う歴史的大敗、保守党は551議席減 |
| 2026年5月7日 | スターマー首相が会見で「結果は極めて厳しい。私は責任を負う」と陳謝。だが続投を表明 |
| 2026年5月16日 | ロンドン2カ所で大規模デモ。反移民デモ+カウンターデモで合計約8万人参加、警察4000人動員、43人逮捕 |
2026年5月16日、ロンドンの中心部で2つの大規模デモが同時に行われた。これは普通の「対立デモ」ではない、というのが個人的に感じる印象だ。
1つ目は反移民・反スターマー政権デモ。呼びかけたのは極右活動家として知られるトミー・ロビンソン氏。スターマー政権の移民・難民政策、言論規制(SNS監視・ヘイトスピーチ規制の強化)に反対する内容だった。2025年9月13日の「Unite the Kingdom」デモでは11万〜15万人が集まったと言われ、それから半年あまり、今回も大規模動員に成功した形になる。
2つ目は親パレスチナ+反人種差別+反極右のカウンターデモ。ガザ情勢への連帯と、トミー・ロビンソン氏側を「極右」として批判する内容。
合計約8万人。警察は約4000人を動員し、最終的に43人を逮捕。両陣営の衝突は限定的だったとされるが、それでも43人というのは結構な数だと思う。日本だと「数万人規模のデモで逮捕者ゼロ」が普通だから、英国の街頭政治の温度感は、もうかなり違うところにきている気がする。
ロンドンデモの裏側にあるのが、1週間前の5月7日に行われた英国統一地方選挙の結果だ。これがちょっと信じられないレベルの大変動だった。
労働党と保守党という英国の二大政党が同時に大敗し、その票がそっくりリフォームUKに流れた構図。「二大政党制が曲がり角を迎えた」「英国政界が根底から変わってしまう」と言われるのも納得というか、もう実際に変わってしまった感じがする。
リフォームUKの公約は実にシンプルだ:厳格な移民対策、不法入国阻止、難民認定の厳格化、英国民の生活費負担軽減。スターマー労働党政権が「人道」を理由に移民・難民の流入を許容してきたことへの、英国民の明確な答えだったように見える。
スターマー首相は会見で「結果は極めて厳しい。美化することはできない。私は責任を負う」と陳謝した一方で、「変革を実現するという決意は揺らがない」と続投宣言。正直、これだけ大敗しておきながら続投というのは、日本の感覚だとちょっと信じられない。日本なら確実に辞任案件だと思う。
なぜ英国民がここまで怒っているのか。それは1990年代から続く移民系の極悪犯罪の連鎖を知らないと理解できない。日本のメディアではあまり報じられないけれど、英国民にとってはどれも「忘れられない記憶」になっている事件群を、5件挙げておきたい。
これがもう、英国移民問題の象徴と言っていい事件。サウス・ヨークシャー州ロザラム市で、パキスタン系移民を中心とする男たちが約16年間にわたって、約1400人の白人少女を組織的に性的搾取した事案。少女たちは多くが10代前半から後半。労働者階級の家庭の子供たちが標的にされた。
被害が表面化しなかった最大の理由は、「人種差別だと言われるのを恐れて警察と役人が通報を握り潰し続けた」こと。これは英国政府が後に正式に認めた事実だ。1400人もの少女が16年間も虐待され続け、警察と社会福祉が「政治的正しさ」を理由に動かなかった ── これは英国民が決して忘れない構造的失敗である。
マンチェスター近郊のロッチデール市でも、同様にパキスタン系移民を中心とする犯罪集団が、労働者階級の白人少女をグルーミング(信頼関係を装って近づく手法)・誘拐・性的虐待していた事件。2010年に再調査が始まり、2012年に9人の男が有罪判決を受けた。
こちらもロザラム同様、警察が長期間にわたって事件を軽視してきた構造が後に問題化した。被害者は数百人規模に上るとされる。
名門オックスフォードシャーでも、役人と警察が16年間ものあいだ、グルーミングギャングによる児童レイプを無視してきたと公式報告書が結論付けた。「あの名門オックスフォードでさえ」というのが英国民にとっての衝撃ポイントだったと思う。
これは比較的最近の事件で、ロンドン近郊のエッピングで、エチオピア出身の難民認定申請者ハダシュ・ゲルベルスラシエ・ケバトゥ容疑者(38)が10代少女に性的暴行した事案。容疑者は小型ボートで英仏海峡を不法入国していた人物。難民申請中の難民が、申請中の身分のままで地元の少女を性的暴行したという構図に、英国民の怒りは爆発した。
同容疑者は2025年9月13日に禁錮12カ月の判決。「12カ月って軽すぎないか」という批判が今でも続いている。エッピング事件の発覚をきっかけに、英国各地で反不法移民デモが連鎖暴徒化した経緯がある。
イングランド北西部の街サウスポートで、ダンス教室の女児3人が殺害され、6人が負傷した凶悪事件。犯人はルワンダ系移民2世の17歳少年で、後にテロ関連物質所持でも起訴された。事件直後のSNSで「犯人はムスリム亡命希望者だ」というデマが拡散され、英国各地で反移民暴動に発展。100以上のモスクや難民施設が襲撃される事態になった。
この事件は厳密には「移民1世の犯罪」ではないけれど、英国民の意識の中では「移民系コミュニティから生まれた凶悪犯罪」として記憶されている。事件後の暴動の規模は、戦後英国の街頭政治の規模を完全に書き換えた。
日本の朝日・毎日的なリベラル系メディアは、トミー・ロビンソン氏のデモを「極右の反移民デモ」と一括で形容する傾向が強い。でも、ちょっと立ち止まって考えたい。
1400人の少女が16年間にわたって性的搾取され、警察と役人が「人種差別と言われるのを恐れて」沈黙してきた事実 ── これを記憶している国民が、「移民政策を厳格化してほしい」「不法入国は止めてほしい」と訴えることは、果たして「極右」なのだろうか。
個人的に思うのは、これはもう「極右」ではなくて、ごく普通の市民感情の表れだ、ということ。「自分の娘が次のロザラムの被害者になったらどうしよう」「不法入国してきた人間が娘を襲っても禁錮12カ月で出てくる社会でいいのか」── そう感じるのは、英国の労働者階級から中流階級まで、ごく幅広い層に広がっている。それが地方選で1400議席をリフォームUKに動かした原動力だと思う。
日本のメディアは、英国の反移民デモを「極右」「人種差別」と簡単にラベル付けする前に、まず「ロザラムで何が起きたのか」「なぜ警察が16年も無視したのか」「エッピングで小型ボート不法入国者が少女を襲っても禁錮12カ月で済んだのか」を、ちゃんと自分の国の読者に伝えるべきじゃないか。それをしないまま「極右」とだけ書くのは、ジャーナリズムとしてフェアじゃない気がする。
英国で起きていることを、日本が「対岸の火事」として見ていられる時代は、もう終わりつつあるように思う。
日本でも近年、技能実習・特定技能・難民認定申請の枠組みを通じた外国人受け入れが急速に拡大している。技能実習の失踪、不法残留外国人の増加、栃木県上三川町強盗殺人事件(2026年5月)のような不法入国・在留資格切れ外国人による凶悪犯罪、川口クルド人問題、北海道留寿都村のリゾート放火事件 ── 数え上げればきりがないくらい、英国がたどってきた道を日本も急ピッチで追いかけている感じがする。
必要なのは、「人道」を旗印にした無秩序な移民受け入れではなく、「日本国民の安全と治安を最優先に置いた制度設計」だと思う。具体的には:
英国の地方選で示された「英国民の怒り」は、決して特殊なものではない。同じ怒りが日本でも、すでに静かに広がっている。リフォームUKのような新興政党が日本でも一気に台頭する日は、思っているより近いのかもしれない。政治家がそれに気づくのが早いか、英国のように二大政党が崩壊するまで気づかないのか ── 自民党にも、立憲民主党にも、まじめに考えてほしい話だ。
1400人の少女が16年間性的搾取された事実。警察と役人がそれを「人種差別と言われるのが怖い」という理由で無視し続けた事実。不法入国してきた難民申請者が地元の少女を襲っても禁錮12カ月で済んでしまう司法の現実 ── こういう一つひとつの積み重ねが、英国民の怒りを今の規模まで膨らませてきた。
「リベラル」を自称する人たちが、こういう被害者の声を「極右」とラベル付けして遠ざけてきたツケが、今、英国政界の地殻変動という形で噴出している、というのが個人的な見方だ。
日本でも、外国人犯罪の被害者の声を「差別煽動」と封じ込める論調が、朝日・毎日を中心にずっと続いてきた。でも、栃木の富山英子さんの惨殺事件、川口の19歳男性の信号無視死亡事故、北海道留寿都のリゾート放火、東京の不同意わいせつ事案 ── 被害は確実に、しかも急速に積み上がっている。英国の二の舞を踏まないために、今のうちにきちんと話し合わないと、本当に間に合わなくなる気がする。
富山英子さん、ロザラムの被害少女1400人、エッピングの被害少女、サウスポートの3人の女児 ── 全員の無念に、静かに哀悼の意を表したい。そして英国民の怒りを「極右」と切り捨てる前に、自分の頭でちゃんと考える人が、日本でももう少し増えてほしいと思う。
2024年4月19日未明、北海…