| 年月 | 容疑者・所属 | 容疑・内容 | 処分・結果 |
|---|---|---|---|
| 2006年12月 | 職員(氏名非公表) | 総武線車内で男子大学生の臀部を触る(痴漢) | 迷惑防止条例違反で逮捕 |
| 2007年5月 | 職員(氏名非公表) | 渋谷区富ヶ谷の路上で女性に抱きつき胸を触る | 強制わいせつ容疑で逮捕 |
| 2007年 | ディレクター(氏名非公表) | 京王線車内で女性の頬に自分の頬を押し当てる / 別のディレクターが電車内で女性の下半身を触る | 逮捕 |
| 2010年2月 | 営業局職員(52) | 品川区内の公園で女性に下半身を露出 | 公然わいせつ容疑で逮捕 |
| 2011年1月 | 松江放送局ディレクター・大久保泉(29) | 静岡県のスポーツセンター男子更衣室にビデオカメラを設置し盗撮 | 建造物侵入容疑で逮捕 |
| 2012年11月 | アナウンサー・森本健成(47) | 田園都市線車内で女子大学生(23)の胸を触る | 強制わいせつ容疑で逮捕→不起訴→停職3ヶ月 |
| 2017年2月 | 山形放送局記者・弦本康孝(20代) | 山形・山梨で女性3人の自宅に侵入し連続強姦致傷(2013~2016年) | 懲戒免職→懲役21年(確定) |
| 2017年3月 | NHK業務委託会社社員 | 受信料契約訪問先のアパートで女性に強制わいせつ | 逮捕 |
| 2017年9月 | 沖縄放送局技術職員(30代) | 中継先の宿泊施設で女子シャワー室にビデオカメラを設置 | 建造物侵入・迷惑防止条例違反で逮捕→諭旨免職 |
| 2018年10月 | 報道局ニュース制作センターCP・重藤聡司(42) | 下北沢駅で女性のスカート内にスマホを差し入れ盗撮 | 迷惑防止条例違反で現行犯逮捕→不起訴 |
| 2019年6月 | 大型企画開発センターCP・阿部博史(41) | 練馬区の歩道で女性(40代)を押し倒し身体を触る | 強制わいせつ容疑で逮捕 |
| 2020年6月 | NHKエデュケーショナルP・菊池真哉(59) | 女子高生(当時17)にわいせつ行為・裸の写真撮影(2018年7月の犯行) | 児童ポルノ製造・都青少年育成条例違反で逮捕 |
| 2023年2月 | 札幌放送局アナウンサー・船岡久嗣(47) | 同僚女性アナウンサーを尾行し自宅マンションに侵入 | 邸宅侵入で逮捕→不起訴→諭旨免職 |
| 2024年10月 | メディア技術局職員・末富拓巳(29) | 品川区のタクシー会社の女子更衣室に侵入 | 建造物侵入容疑で逮捕 |
| 2026年3月 | 報道局スポーツセンターチーフD・中元健介(50) | 渋谷区で面識のない20代女性を脅迫し性的暴行(2026年1月の犯行) | 不同意性交容疑で逮捕→不起訴 |
NHK――日本放送協会。受信料という形で国民から年間約7000億円を徴収し、「公共放送」として信頼と品格を求められる組織である。 しかし、その看板の裏側では、職員による性犯罪が2000年代から繰り返し発覚している。痴漢、盗撮、強制わいせつ、強姦、児童ポルノ、そして不同意性交。しかも加害者の中にはアナウンサー、チーフプロデューサー、ディレクターといった「局の顔」となる幹部クラスの人間が含まれている。 この記事では、報道ベースで確認できるNHK職員および関連会社社員による性犯罪事件を2000年代から時系列で総ざらいする。
2006年~2007年:連鎖する電車内の犯行
記録上、NHK職員の性犯罪が顕在化し始めたのは2006年頃からだ。 2006年12月、NHK職員の男が千葉方面に向かうJR総武線の車内で、男子大学生の臀部を触ったとして東京都迷惑防止条例違反で逮捕された。被害者が男性という点でも衝撃を与えた事件だった。 翌2007年には性犯罪が立て続けに発生する。5月には別の職員が渋谷区富ヶ谷の路上で女性に背後から抱きつき、胸を触ったとして強制わいせつ容疑で逮捕。さらに同年中に、京王線車内で女性の頬に自分の頬を押し当てたディレクター、別の電車内で女性の下半身を触ったディレクターと、「NHK」の名を冠した性犯罪者が相次いだ。 この時期、NHKでは海老沢勝二前会長時代の「処分者リスト」が流出し、週刊誌が「封印されたNHK職員のSEX犯罪」として報道。表沙汰にならないまま内部処分で済まされた事案が多数あったことが明るみに出ている。
2010年~2011年:露出と盗撮
2010年2月、営業局に所属する52歳の男性職員が、品川区内の公園で女性に下半身を露出したとして公然わいせつ容疑で逮捕された。受信料の徴収を担当する部門の職員が、家庭を訪問する立場にありながら公園で性器を見せていたという事実は、公共放送の名を汚すに十分な醜聞だった。 2011年1月には、NHK松江放送局のディレクター・大久保泉容疑者(当時29)が、静岡県裾野市のスポーツセンター内の男子更衣室にタオルで覆ったビデオカメラを設置し、盗撮を行っていたとして建造物侵入容疑で逮捕された。清掃員がカメラを発見し、通報によって事件が発覚している。
2012年:看板アナウンサーの逮捕
2012年11月14日、NHKのアナウンサー・森本健成容疑者(当時47)が、東急田園都市線二子玉川駅付近を走行中の車内で、23歳の女子大学生の胸を触ったとして強制わいせつ容疑で現行犯逮捕された。 森本アナは長年にわたりNHKの報道番組を担当し、視聴者にも広く知られた「局の顔」の一人だった。逮捕当初は「酒に酔っていて覚えていない」と供述していたが、送検後に容疑を認めている。 東京地検は12月7日、被害者が告訴を取り下げたことなどを理由に不起訴処分とした。NHKは停職3ヶ月の処分にとどめ、この「大甘処分」に対してはネット上で激しい批判が巻き起こった。
2017年:NHK史上最悪の連続強姦事件
NHK職員による性犯罪の中で、最も凶悪とされるのが山形放送局の記者・弦本康孝による連続強姦致傷事件だ。 弦本は2013年から2016年にかけて、前任地の山梨県と勤務地の山形県で、20代の女性3人の自宅に侵入し、性的暴行を加えた。2017年2月に強姦致傷と住居侵入の容疑で逮捕され、即座に懲戒免職処分となっている。 2018年4月の山形地裁判決では、裁判長が「常習性が極めて高く、反省の態度が見られない」と厳しく断じ、懲役21年の判決を言い渡した。弦本は一貫して「DNAは第三者が持ち込んだ」と無罪を主張したが、仙台高裁も控訴を棄却し、懲役21年が確定している。 NHK記者という「信頼される職業」を利用し、報道で知り得た情報を基に女性の住居を特定していた可能性も指摘されており、公共放送の記者として考え得る最悪の犯罪だったと言えるだろう。 同年3月には、NHKの業務委託会社の社員が、受信料の契約訪問で訪れた調布市内のアパートで女性に強制わいせつ行為を行い逮捕されるという事件も起きている。「NHKです」と名乗って家庭を訪問する人間が性犯罪に及ぶという構図は、受信料制度そのものへの不信を決定的にした。

2017年9月:出張先で盗撮カメラを設置
弦本事件からわずか半年後の2017年9月、今度はNHK沖縄放送局の30代の技術職員が、中継業務で訪れた沖縄本島南部の宿泊施設の女子シャワー室にビデオカメラを設置し、盗撮を行ったとして建造物侵入および沖縄県迷惑行為防止条例違反の容疑で逮捕された。 施設の清掃員がカメラを発見して通報し、犯行が発覚。この職員は容疑を認め、NHKは10月に諭旨免職処分とした。 中継のためにNHKの名前で宿泊施設を利用しながら、その信用を盗撮に利用するという犯行は、2011年の松江放送局の事件と構図が酷似している。
2018年:「おはよう日本」チーフプロデューサーの盗撮
2018年10月25日、報道局ニュース制作センターのチーフ・プロデューサー・重藤聡司容疑者(当時42)が、京王井の頭線下北沢駅のエスカレーターで20代女性のスカートの中にスマートフォンを差し入れたとして、東京都迷惑防止条例違反の容疑で現行犯逮捕された。 重藤容疑者は2000年にNHKに入局し、報道畑を歩んだベテラン。逮捕当時は朝の看板番組「NHKニュースおはよう日本」のチーフプロデューサーを務めていた。番組を終えて帰宅する途中の犯行だったと報じられている。 東京地検は11月30日に不起訴処分としたが、FRIDAYの取材では「やっぱりな」という関係者のコメントも報じられており、日常的な素行に疑問を持たれていた人物だったことがうかがえる。

2019年:「NHKスペシャル」プロデューサーの路上わいせつ
2019年6月17日、放送総局大型企画開発センターのチーフ・プロデューサー・阿部博史容疑者(当時41)が、同年2月23日に東京都練馬区の路上で40代の女性の肩をつかんで押し倒し、身体を触ったとして強制わいせつ容疑で逮捕された。 阿部容疑者は名古屋大学大学院で素粒子物理学を専攻した理系エリートで、NHK入局後は「NHKスペシャル」や「AI(人工知能)に聞いてみた」など先端技術を扱う番組のプロデューサーとして高い評価を受けていた。タレントのマツコ・デラックスとの共演経験もある「局のエース」的存在だった。 デイリー新潮は、阿部容疑者には過去にも同様の前歴があった可能性を報じており、「再犯」であった疑いが指摘されている。

2020年:NHK関連会社プロデューサーの児童ポルノ
2020年6月18日、NHKの子会社「NHKエデュケーショナル」のプロデューサー・菊池真哉容疑者(当時59)が、2018年7月に東京都墨田区のレンタルルームで女子高生(当時17歳)にわいせつな行為をし、裸の写真を撮影したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)および東京都青少年健全育成条例違反の容疑で逮捕された。 菊池容疑者はSNSを通じて被害者と知り合い、「撮影代」として1万円を支払っていた。自宅パソコンからは女性の裸などを撮影した画像が1000枚以上発見されている。 NHKから出向中の身でありながら児童ポルノ製造に手を染めていたという事実は、組織全体の管理体制を問う声をさらに強めた。菊池容疑者は逮捕直前まで、ラジオ番組「世界へ発信! ニュースで英語術」のプロデューサーを務めていた。

2023年:同僚女性アナ宅に侵入したスポーツ実況のエース
2023年2月17日夜、NHK札幌放送局のアナウンサー・船岡久嗣容疑者(当時47)が、東京都中野区のマンションに無断で侵入したとして邸宅侵入の容疑で逮捕された。 事件の経緯はこうだ。船岡容疑者は同僚の女性アナウンサーの後をつけ、女性が自宅マンションに入るタイミングで部屋に押し入り、抱きついた。その後、逃走する際にマンション3階のベランダから飛び降り、負傷。2日間の入院を経て逮捕に至っている。 文春オンラインの報道によれば、船岡容疑者は既婚者で、以前から被害女性に対して執拗なアプローチを繰り返していたとされる。ストーカー規制法に基づく禁止命令が出された後、東京地検は不起訴としたが、NHKは4月21日付で諭旨免職処分を発表した。 船岡容疑者は大相撲やフィギュアスケートの中継で実況を務めた「スポーツ中継のエース」として知られた人物であり、その転落は局内外に大きな衝撃を与えた。

2024年:タクシー会社の女子更衣室に侵入
2024年10月6日午前0時半頃、NHKメディア技術局の職員・末富拓巳容疑者(当時29)が、東京都品川区のタクシー会社の女子更衣室に侵入したとして建造物侵入容疑で逮捕された。 出勤してきた女性社員が更衣室の鍵がかかっているのを不審に思い開けたところ、酒に酔って寝ている末富容疑者を発見。「帰ります」と言って立ち去ろうとしたところを通報され、駆けつけた警察官に取り押さえられた。 末富容疑者は「なぜ逮捕されたのか理解できない」と供述しているが、NHKは公式Xアカウント「どーも、NHK」で「職員が逮捕されたことは遺憾です。事実関係を確認し厳正に対処します」とコメントした。 この「遺憾」「厳正に対処」というテンプレートのようなコメントは、もはやNHKの「お家芸」と化している。

2026年:チーフディレクターが白昼の路上で性的暴行→不起訴
そして2026年。NHK職員による性犯罪は、さらなる衝撃を社会に与えた。 2026年1月4日午後2時15分頃、NHK報道局スポーツセンターのチーフディレクター・中元健介容疑者(50)が、東京都渋谷区の路上で自転車に乗りながら面識のない20代の女性に声をかけ、「俺、危ないもの持っているから」と脅迫。女性の腕をつかんで近くの雑居ビルに連れ込み、階段の踊り場で不同意性交に及んだ疑いが持たれている。 被害女性は犯行直後に近くの交番に駆け込み、被害を申告。中元容疑者は自転車で逃走したが、防犯カメラの映像などから身元が特定された。 ところが中元容疑者は逮捕されるまでの約2ヶ月間、ミラノ・コルティナ冬季五輪に向けた関連取材など通常業務を続けていた。逮捕は3月5日。白昼の性暴力事件を起こしながら、何事もなかったかのように五輪取材に勤しんでいたことになる。 週刊文春の報道によれば、押収されたスマートフォンからは別の女性らとのわいせつ画像や動画が複数発見されており、常習性が疑われている。警視庁にも「同様の被害相談が他にも寄せられている」と報じられた。 しかし東京地検は、逮捕から約20日後にこの事件を不起訴処分とした。不起訴の理由は明らかにされていない。「公共放送の幹部職員が白昼堂々と路上で性的暴行を加え、不起訴になる」という結末に、視聴者の怒りは頂点に達している。


なぜNHKで性犯罪は繰り返されるのか
約20年間で15件を超えるNHK職員の性犯罪。この異常な数字は、いくつかの構造的な問題を浮き彫りにしている。 まず、処分の甘さだ。森本アナの停職3ヶ月、重藤CPの不起訴、中元CDの不起訴と、加害者が社会的制裁を受けずに終わるケースが目立つ。これが「やってもバレない、バレても大事にならない」という認識を組織内に蔓延させている可能性は否定できない。 次に、「NHKブランド」が犯罪に利用されている実態がある。受信料訪問時のわいせつ、中継出張先での盗撮、NHK記者の立場を利用した住居特定と強姦。公共放送という肩書きが、被害者の警戒心を緩め、犯行を容易にしている構図がある。 そして、組織としての自浄作用の欠如。2004年に流出した「処分者リスト」で多数の性犯罪が隠蔽されていたことが明らかになって以降も、事件は繰り返されている。NHKは事件が起きるたびに「遺憾」「厳正に対処」とコメントを出すが、その言葉に実効性が伴っているとは到底言えない。 受信料という制度に守られ、競争原理が働きにくい組織で、職員のモラルをどう保つのか。この根本的な問いに、NHKは未だ答えを示せていない。
出典・参考
- Wikipedia「NHKの不祥事」
- 日本経済新聞「NHK森本アナを逮捕 電車内で痴漢の疑い」(2012年11月15日)
- J-CASTニュース「ディレクターが変態盗撮、車内物色 NHK職員の不祥事止まらない」(2011年1月4日)
- J-CASTニュース「NHK山形記者、強姦致傷容疑で逮捕」(2017年2月6日)
- 日本経済新聞「元NHK記者に懲役21年 山形地裁判決」(2018年4月25日)
- 沖縄タイムス「中継先の女子シャワー室にカメラ設置 盗撮目的、NHK職員を逮捕 沖縄県警」(2017年9月3日)
- デイリースポーツ「NHK『おはよう日本』のチーフプロデューサーが盗撮で逮捕」(2018年10月25日)
- デイリースポーツ「NHKプロデューサー逮捕 女性に路上でわいせつ行為」(2019年6月17日)
- デイリー新潮「『NHKスペシャル』エースプロデューサーが猥褻逮捕、しかも再犯だった」(2019年6月30日)
- 産経新聞「NHK関連会社プロデューサー逮捕 17歳の女子高生にわいせつ行為の疑い」(2020年6月18日)
- 文春オンライン「『後輩女子アナの部屋に押し入り、抱きついた』”不倫ストーカー行為”でNHKをクビに…船岡久嗣アナ(47)が大先輩に送った『謝罪LINE』の中身とは」(2023年)
- 中日スポーツ「NHK船岡久嗣アナウンサーを逮捕 警視庁、マンションに無断侵入した疑い」(2023年2月20日)
- 時事通信「NHK職員を逮捕 酒に酔い女子更衣室侵入容疑」(2024年10月6日)
- 日本経済新聞「女性に性的暴行、NHKディレクター逮捕 容疑否認」(2026年3月6日)
- Smart FLASH「『危ないものを持っている』NHKチーフD、白昼の性的暴行で逮捕…事件後も2カ月”五輪取材”に勤しんだ厚顔無恥」(2026年3月)
- 文春オンライン「《不同意性交容疑で逮捕》NHKチーフD・中元健介容疑者、犯行直前に目撃されていた奇行」(2026年3月)
- coki「NHKチーフディレクター不同意性交事件で不起訴処分 公共放送の性犯罪体質に再び激震」(2026年3月)
- Yahoo!ニュース(神田敏晶)「NHK職員の不祥事についてNHKからの回答が届いた」
- CiNii「封印されたNHK職員の『SEX犯罪』――海老沢前会長時代の『処分者リスト』でわかった公共放送のあきれた実態」


